鉄道基礎知識(バックナンバー)
◆レールの上を走るのは、みんな「電車」?
「わぁ! 煙が出るカッコイイ“電車”!」
SLを見た子供が、よく叫んだりしていますよね。
僕なぞは、微苦笑しつつ、心の中で「あれは“蒸気機関車”なんだよ…」と突っ込みを入れたりして…(笑)
子供や、特に鉄道知識のない人が、レールの上を走るものを、何でもかんでも“電車”と呼ぶのは構わないでしょう。微笑ましくもあります。
でも時々。プロのはずの、テレビ番組や雑誌の製作者、新聞記者までが“何でもかんでも電車”で、がっかりさせられます。
では、レールの上を走る車両には、どういう種類のものがあるのでしょうか?
※例外的なものを省きます。
総称としては、「鉄道車両」と呼ぶのが一般的でしょう。
鉄道車両は、まず大きく3つに分類されます。
1)機関車
2)客車
3)貨車
この3つです。
客車は、旅客(人間)を運ぶ車両。
貨車は、貨物を運ぶ車両。
そして、客車や貨車を牽引して(引っ張って)走るために「動力」を持つ車両が機関車です。
機関車が用いる動力は、主に3種類あります。
1−1)蒸気機関車
1−2)電気機関車
1−3)ディーゼル機関車
それぞれ略称として、動力と機関車(Locomotive)の頭文字を組み合わせて
「Steam Locomotive」=SL(蒸気機関車)
「Electric Locomotive」=EL(電気機関車)
「Diesel Locomotive」=DL(ディーゼル機関車)
とも呼びます。ここで「SL」という言葉が出てきましたね。
客車も「Passenger Car」の略でPC、貨車は「Freight Car」の略でFC、と呼ぶこともあります。
はい、以上。おしまい。。。
え? “電車”がまだ、出てきていないって?(笑)
「電車」はですね…実は「客車」の一種なんです。
電車とは「電動客車」を略した言葉です。ご存じでしたか?
鉄道が発達してくると、客車に直接、動力を取り付けて走らせれば合理的ではないか、という考え方が出てきました。
そこで主に用いられた動力も、やはり機関車と同じく3種類。
2−1)蒸気動車
2−2)電動客車
2−3)ディーゼルカー(気動車)
蒸気動車はほとんど発展することなく消えましたので、現在、あるのは電動客車、すなわち“電車”と、ディーゼルカーだけです。
※ディーゼルエンジンの代わりに、同じ内燃機関のガソリンエンジンやガスタービンを用いる例もありますので、「気動車」という言葉も使います。
やはり、英語の略称もあり
「Electric Car」=EC(電車)
「Diesel Car」=DC(ディーゼルカー)
とも、呼ばれます。
日本では、狭い土地に多くの人が集中して住んでいる国土の性格にマッチする、“電車”が広く用いられ、大きく発展。現在では、JR、民鉄を問わず、鉄道車両のほとんどを電車が占めています。
日本を代表する、新幹線も電車です。
なので、鉄道車両=電車というイメージが、今ではすっかり定着しています。
でも、だからといって、“何でもかんでも電車”ではありませんよ。
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